職員間で引き継ぎの説明が食い違うとき、院長はどう対応するか
同じ引き継ぎについて、一人は「最後までお願いした」と話し、もう一人は「一つ確認するとは言ったが、担当を引き受けたわけではない」と話す。院長が「仲良くやってほしい」と伝えても、何が起きたのか、今の作業を誰が進めるのかは決まりません。
まず一つの出来事を取り上げ、確認できる情報、それぞれの説明、まだ食い違っている点を分けます。そのうえで、管理者が決めるべきことを決めます。過去の説明が一致しなくても、次の担当は明確にできます。ただし、新しい段取りを決めたことを、元の懸念まで解決した証拠にしないことが大切です。
1.話を聞く方法が適切かを確かめる
二人を同席させる前に、何について対応が必要なのかを確認します。日常的な事務の行き違いと、嫌がらせ、威圧、差別、安全に関する懸念は、同じ扱いにはできません。後者は既存の適切な窓口や手順、責任者につなぎます。非公式な話し合いでその対応を代用したり、急ぐべき対応を遅らせたり、相手と直接話すことを申し出を聞く条件にしたりしません。
通常の業務上の意見の違いでも、初めに別々に話を聞き、論点や同席の適否を確認する方法があります。目的、記録する内容、必要な情報を誰に共有するかを説明し、絶対に秘密にすると約束しないようにします。患者さんや同僚に聞こえない場所と、現実的に確保できる時間を用意し、必要なら通常業務の交代も手配します。
院長に何を理解してほしいのか、まだ対応を待っている作業があるかを尋ねます。詳細がそろっていなくても、懸念を申し出ることはできます。確認が必要な点を示し、記憶が完全でないことを、うそをついている証拠としないようにします。
院長自身の言動や判断についての申し出なら、自分が当事者であることを認め、必要に応じて適切な別の窓口や担当者を示します。自分への苦情を、自分だけで判定する形にしません。話を聞くことは、私的なメッセージを探したり、関係のない同僚に聞き回ったり、個人の事情を話すよう求めたりする許可ではありません。
2.一つの引き継ぎを具体的に見る
ここでは、職員の打ち合わせに使う部屋の予約について、架空の研修例を考えます。患者さんの予約、診療用の設備、実在の職員記録、実際の予約操作は扱いません。午前担当Aは、部屋の予約を確定する仕事を午後担当Bに引き継いだと話します。Bは、空いているかを尋ねると答えただけだと話します。二人とも、相手が仕事を残したと考えています。
練習用の依頼表には「部屋:管理者に確認」とあり、誰が予約の確定まで担当するかは書かれていません。状態は保留です。別の練習用メモには、管理者が二つの候補から打ち合わせ時刻を選ぶ必要があると記されています。この架空の記録から分かるのは、記載内容です。会話の中で何を聞いたかまで、記録だけで確定することはできません。
- 確認できる情報:該当する記録の現在の内容、指示が出た時点、文書上の担当範囲など。閲覧してよい情報か、いつの状況を示すかも確かめます。
- 本人の説明:何を頼み、どう理解し、何をしたと話しているか。他の人についての確定した事実にせず、誰の説明かを明らかにします。
- 未確認の点:担当を引き受けたか、実際にどんな言葉が交わされたか、その時点でどの指示が伝わっていたか。追加で確認する点と、分からないまま残る可能性のある点を示します。
「依頼表に担当者名がない」と「Bが故意に無視した」は異なります。前者はこの練習用の表についての観察ですが、後者は表から分からない意図の推測です。同様に、メッセージが送信済みでも、相手が読んで担当を引き受けたとは限りません。記録が示す範囲を超えて結論を出さないようにします。
引き継ぎ前の担当、伝えた内容、返答、その時点の指示、その後の動きをたどります。継続的な問題の確認が必要なら、対象を定めて別に扱い、過去の行き違いを際限なく持ち込む場にしません。
3.説明の一致を求めず、それぞれを正確に聞く
「何を引き受けたと理解していましたか」と尋ねるのと、「なぜ手伝うのを拒んだのですか」と尋ねるのでは、前提が違います。理解のもとになった情報や指示を聞きます。それぞれに、院長の要約を訂正し、関係する点について説明する機会を、事案に適した方法で設けます。
架空の例でAには、「予約を確定するところまでBに頼み、引き受けてもらったと理解している、ということで合っていますか」と確かめます。Bには、「空きを確認すると答えたが、予約を確定する担当までは決めていないという説明ですね。正しく受け取れていますか」と確かめます。これは各人の説明の確認であり、どちらが事実と認定されたかを示すものではありません。
困った状況を受け止めることと、相手への非難を認めることも分けます。「その仕事を続けるべきか分からない状態だったのですね」は業務上の難しさを表します。「相手はいつもあなたに押しつけますね」では、未確認の結論を加えてしまいます。一人を安心させるために、別の人を根拠なく評価しないようにします。
同席での話し合いが適切なら、目的と、互いの説明を聞く進め方を確認します。必要な説明を途中で遮らず、特定の点について補足を求めます。誰の話に説得力があるかを、職員の多数決で決める場にはしません。役職、話し方の自信、口数の少なさだけで事実は決まりません。
担当を引き継ぐかどうかについて、どんな言葉を交わしたのかが分からないまま残る場合もあります。その不確かさを記録します。きれいに終えるために、謝罪や全員の同意、個人的な事情の説明を強制しません。一方、説明が一致しないことを理由に、さらに対応が必要な懸念を打ち切らないことも大切です。
4.話し合いが進まないときは、進め方を変える
互いに遮っている、続けることが難しい、時間がほしいと言われた、といった場合には、中断も選択肢です。「お互いの話が重なり、両方の説明を正確に記録できていません。一度止めて、どう続けるかを確認しましょう」と、観察した状況と次の対応を伝えます。防衛的な性格だと決めつけたり、表情から本心を読んだりする必要はありません。
安心させる一文で、話し合いの安全や進展が保証されるわけではありません。休憩、別々の聞き取り、適切な方法での書面の説明、別の責任者など、何が必要かを確認します。別の手順で扱うべき内容になったなら、その変更を説明します。同席の会議は方法の一つであり、必ず達成すべき成果ではありません。
目的を説明するときは、実際の目的を伝えます。「この引き継ぎを確認し、保留中の仕事の担当を決めます」なら対象が明確です。まだ分からない段階で、能力や行動の問題は一切扱わないと約束したり、すでに決めたことを未決定の相談に見せたりしません。何が決まり、何が検討中で、誰に決定権があるかを説明します。
中断、短い返答、沈黙だけで、同意や敵意とは判断できません。確認に必要な業務情報を尋ね、私的な事情を対立の理由として説明させないようにします。
5.院長自身がすべきことも記録する
架空の部屋予約では、管理者による時刻の選択が残っています。これは、二人がもっと感じよく話せば解決する問題ではありません。管理者が決める内容です。選択の依頼が届いていたか、何と答えたか、以前の指示と今の期待が食い違っていないかを確認します。
練習の中で、必要な判断を院長がまだしていないと確認されたなら、「時刻を決めるのは私の担当で、まだ終えていません。お二人が予約を確定できるように、先にそこを決めます」と言えます。業務上の問題に自分が関わった具体的な部分を認める言葉です。それが二人の対立をすべて説明するとまでは言いません。
「院長が指示を変えても、次の担当に伝わりません」という指摘も、同僚への指摘と同じように扱います。関連する出来事の順序を聞き、確認します。話を聞いたことへの感謝を求めたり、管理者がどれほど忙しいかを弁明する場に変えたりしません。説明が違うなら、確認した情報を示して訂正の余地を残し、説明どおりなら、管理者がすべき判断や修正を明らかにします。
管理者が実際に持つ権限の範囲で、実務上の制約を確認し、誰が段取りを決めるかを伝えます。決定の理由と、残る懸念を伝える方法も示します。決定者を明らかにしただけで、納得が得られるとは限りません。
6.実行できる対応と確認方法を決める
今の仕事の段取りと、食い違う引き継ぎの評価は分けます。架空の例では、まず管理者が時刻を確定し、その後、権限のある職員が部屋を確認して、実際の返答を記録します。担当者、必要な情報、勤務中に確保する時間、次に報告する時点を具体的にします。懸念を申し出たという理由だけで、その人に追加作業を渡さないようにします。
短い記録でも、出された懸念、確認した情報、関係する各人の説明、なお食い違う点、管理者の決定、対応と担当者、確認時点を区別できます。一致した点は一致として、残る違いは違いとして残します。要約が不正確な場合は適切な方法で伝えられるようにします。必要な情報だけを適切なアクセス範囲で保管し、実名付きの対立の経緯を職員全体の教材にしないようにします。
次の引き継ぎでは、「空きを尋ねる担当」と「予約の確定まで進める担当」を明示する案が考えられます。実際の運用に採用するか決める前に、架空の依頼で表現を試します。担当者が割り当てられた仕事を引き受け、必要な情報と権限を持っているかも確認します。表の項目を一つ増やしても、作業時間、管理者の判断、必要な指導は補えません。
約束した確認時点では、実際に何が行われたかを見ます。管理者の判断は出たか。担当は明確だったか。約束した報告は届いたか。元の懸念には何が残っているか。部屋の予約が完了しても、人間関係が修復された証拠にはなりません。静かな一週間も、問題が消えた証明ではありません。段取りが実行されなかったなら、その不足を確認し、次の対応を決めます。
この練習は事務作業を対象とします。患者さんの安全や診療に関する既存の窓口、専門職の役割、必要な確認は維持します。事務上の行き違いが患者さんへの案内や連絡に影響する場合は、既存の適切な方法で実際の対応担当を決めます。費用の質問、考える時間、辞退、日程変更の選択は患者さんのものです。職員間の問題を片付けるために、患者さんに治療や予約の決定を迫りません。
院長の仕事は、即座に結論を出したり、仲直りを演出したりすることではありません。適切な方法で懸念を聞き、証拠、説明、推測を分け、自分が負う役割にも対応し、次の行動が実行可能か、実際に行われたかを確かめることです。未解決の過去を同意済みに書き換えずに、業務の次の一歩を明らかにしていきます。
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